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メガネレンチとスパナの違い
カーナビの取り付け時には、配線取り回し時の万が一のショートによる事故を防ぐため、バッテリーのマイナス端子を外す必要があります。通常はバッテリーのターミナルは六角形のボルトで固定されているので、これを緩めるために必要になる工具がレンチやスパナです。
カーナビ本体から出ているアース線をボディアースするためにも、ボルトを緩めたり締めたりする必要がありますね。
六角ボルトを緩めるための工具にはいくつかの種類がありますが、一般的に想像されるのがスパナではないかと思います。
スパナはスティック状の金属の両端にコの字型の加工がなされており、この部分で六角ボルトを挟みこみ回すことでボルトを締めたり緩めたりできるものです。
また、メガネレンチというのもあります。こちらはスパナのコの字部分が丸く加工されたような工具で、丸い穴になった部分に六角ボルトをはめて回します。
メガネレンチとスパナの違い
メガネレンチもスパナも同じ六角形の形状をしたボルトを回すための道具ですが、どういった違いがあるのでしょう。
実際に使ってみると分かりますが、スパナは開放部分があることで、ボルトに対して横からはめたり抜いたりといったアプローチすることができます。逆にメガネレンチはボルトの上からかぶせるようにしないと使用することができません。
ボルトを回すときには、(ドライバーでネジを締めるように)工具をぐるぐるっと回すのではなく、一定の角度で動かしたらボルトから工具を離して、回しやすい角度に付け直してまた動かすという動作を繰り返しますよね。そのため、ボルトに接したり離したりしやすいスパナの方が作業効率はよいことになります。
しかし、スパナの場合は六角ボルトに六面ある側面のうち二面に対して力を加えるため、固いボルトを緩めるときや、大きなトルクをかけて締め付けるといった作業を行うと、ボルトを傷めてしまう(いわゆるナメる)危険性があります。
逆にメガネレンチは六面全てに対して均等に力を加えることができる構造ですから、大きな力を加えるのに向いているといえるでしょう。
メガネレンチとスパナの使い分け
レンチとスパナは六角ボルトを回すという同じ用途に使うのですが、前述したとおりの違いがあります。
ですから、最初はメガネレンチでボルトを緩めておいて、その後はスパナで効率的にボルトを回していくという使い分けをするのが正しい使い方と言えそうです。
ただ、バッテリーターミナルにしても、ボディアースのための作業にしても、入り組んだ場所にあるボルトではないですし、完全にボルトを外してしまうわけでもなく、作業に必要なだけ緩めればいいだけのことなので、実際にはメガネレンチがあれば十分に作業が可能であると言えるでしょう。
二つのサイズを両端に配置した通常のスパナ、レンチの他にコンビネーションレンチといって、同じサイズのスパナとレンチ(コの字と丸目)が一組になっている工具もあります。片目片口レンチ、片目片口スパナと呼ばれることもあります。
また、スパナの作業効率とメガネレンチの形状によるメリットを兼ね備えたツールとして、ソケットレンチという工具もあります。これは、先端の部分(ソケット)を交換することで、同じハンドル(握りの部分)でさまざまな大きさのボルトに対応できる工具です。
ソケットレンチのハンドルとして、ラチェット機構を取り入れた、ラチェットハンドルというものがあります。これは、緩める方向、あるいは締める方向、どちらかにしか回らないようにできており、逆向きに回すとソケット部分とハンドル部分が連動せずにズレていくため、ボルトにソケットをはめた状態でハンドルを往復させるだけで締めたり緩めたりすることができるという便利な工具です。
ただし、ラチェット機構という複雑な仕組みを持っているため、最終的な締め付け、あるいは固いボルトを緩めるといった高いトルクがかかる作業には向きません。
スパナの角度
ところで、スパナの先端を見ると、握りの部分に対して少し角度をつけて開放部がもうけられているのが分かると思います。
これは、入り組んだ場所に取り付けられたボルトを緩める際、スパナを動かせる範囲が非常に限られているときでも、スパナを少し動かしては裏返しにして使うという作業を繰り返すことで、限られた作業空間を最大限に利用してボルトを緩めることができる構造になっているのです。
この角度は一般的には15°になっています。ボルトは六角形ですから、作業できる角度として30°ちょっとあれば、きちんとボルトを緩めることができると言えるでしょう。